スラット・シェイミングとは女性差別の一つでアメリカで生まれた言葉です。「スラット」は性的に逸脱している人のことを指し、「シェイミング」は日本語で「恥ずかしい思いをさせる」という意味です。性的な行動や服装をしている女性に対する非難をスラット・シェイミングと呼びます。
「#Kutoo」からスラット・シェイミングへ
スラット・シェイミングはキャリア女子も遭遇する問題です。しかし認知度はまだ低く、スラット・シェイミングの前に問題となったのは社内の規定で女性にだけ義務付けられる「ヒール・パンプスの強制」でした。
「#Kutoo」
少し前に「#Kutoo」というハッシュタグが流行したのを覚えていますか?高いヒールのパンプスを履くことを義務付けられている企業に異議を唱える動きです。
しかし、これに対して「いやなら会社をやめればいい」などの批判が相次ぎました。服装規定で女性に負担を強いることを問題提起した「#Kutoo」でしたが、企業において労働者がいかに弱い立場にあるかも露見しました。
「#Kutoo」は「ハイヒールやパンプスを履くな」ということではなく、「仕事で履く靴を強制しないでほしい」という想いから始まった運動です。職場の服装規定を問題視し署名活動をしたことにより周囲からのバッシングを受け、職場を退職した石川優美さんの取材記事がBusiness Insider Japanに掲載されています。
また、今年10月、石川優美さんはイギリスのBBCが選出する世界に影響を与えた「100人の女性」に選ばれました。
今後はパワハラに該当する可能性も ヒールやパンプスの強要
皆さんの勤務先の服装規定はどのようなものでしょうか?靴や服装に対して規定のない会社もあれば、上記の記事で取材された女性が語ったように「ヒールは○センチ以上のものを履くように」と指示されている会社もあるかも知れません。
女性であればわかることですが、ヒールの高い靴は女性の足に負担を強いることもあり、労災の原因にもなります。厚労相は答弁で、業務上必須でない場合、ヒールやパンプスの強制はパワハラに該当する可能性があると述べています。
これもBusiness Insider Japanに詳しく調査された記事があります。
ヒール・パンプス強制は「業務上必要なければパワハラ」にも。#KuToo 厚労相発言の真意
スラット・シェイミングの実例
それでは、「#Kutoo」をきっかけに日本でも時折目にするようになったスラット・シェイミングの実例をみていきましょう。数年前から世界の至るところで社会現象になっています。
性犯罪の被害者たちへの誤解
日本で例えると、都心では満員電車での痴漢被害が時折あります。信じられないことですが、被害に遭った女性が「スカートが短すぎた」「ノースリーブだった」というだけで責任があるかのように責められることがあります。
痴漢行為だけではなく、ほとんどの性犯罪で同じ問題が起きています。被害者が自分を責めることにもなりかねない事態です。
男性職員の職場環境を保つため女子生徒のスカート丈を規制
これはニュージーランドの学校で実際に起きたことです。アメリカのミュージシャン、エリカ・バドゥがツイッターで「女性たちは自分の性的魅力を意識するべき」と訴えたことで議論が始まり、全世界に注目されました。
エリカ・バドゥはツイッター上で炎上もしましたが、この一件によりスラット・シェイミングの認知度がいっきに広がったのは間違いありません。
水着写真への批判に抵抗したアメリカ女優
アメリカの女優アリエル・ウィンターは露出の多い写真をよくSNSに掲載していました。そのたびに彼女はフォロワーから非難されました。アリエルは「男性がセクシーな写真を載せても誰も何も言わないのに、女性だと責められる」ことを疑問視し、「私たちは自分の体に誇りを持っているだけ」と述べました。
昔から「尻軽」など性的に奔放な女性を貶める言葉はありますが、よく考えると男性に向けてそういった種類の言葉が放たれることはあまりありません。
この発言をした2017年、アリエル・ウィンターはまだ19歳でしたが、大人の女性にとっても考えさせられる問題提起でした。
「これってスラット・シェイミングでは?」と思ったら
日本でもスラット・シェイミングは話題になりつつあります。私たちが職場やプライベートで性的なことを理由にからかわれたり責められたりした場合、どう対処していくのがベストなのでしょうか?
実例をあげてこれは性差別だと伝える
だいたいの場合、「肌を露出するなんて軽い」「性的に奔放だからセクハラされるんだ」と言ってくる人に罪悪感はありません。この記事であげた海外の実例を出し、そういった非難はスラット・シェイミングと呼ばれていて女性差別だと説明することが必要でしょう。
また、スラット・シェイミングは職場であればセクシャルハラスメント、彼氏や夫などのパートナーから言われたらモラルハラスメントに該当します。性差別に対し反論することは、自分の人権を守るために大事なことだと自信を持ってもいいのです。
加害者は男性だけじゃない
スラット・シェイミングの加害者は男性だと思われがちですが、実は女性も加害者になりえます。
「あの人はいつも露出の高い格好をしているから性犯罪に遭っても仕方ない」「派手な仕事をしているから男性に誤解されるんだ」そう陰口を叩くのは男性だけとは限りません。
自分も加害者になりえるという意識を持ちつつ、偏見を捨てて、家族や女友だち、同僚と接することも大切です。
世界中の女性にどのような問題が起きているのか
スラット・シェイミングについて紹介してきましたが、国際社会では他にも日本ではあまり知られていない問題がたくさん起こっています。外国と日本社会を比べながら性差別に関する問題や知識をインプットすることは、女性にとって不可欠です。
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