2016年の春の受験シーズンも終わったが、この時期、話題になるのが大学合格者の高校別ランキングだ。東大、京大だけでなく、最近は「医学部合格者数」がいちだんと注目されるようになっている。
たとえば2014年3月の「ヤフー知恵袋」には、こんな質問が。「東大より難しい医学部ってどのくらいありますか?」。熊本大学の医学部に合格した知人が「東大より難しい」と言っていたので気になったという。
さまざまな意見が掲載されているが、「地方国立大学医学部は東大理Ⅰ、理Ⅱに合格できないと無理」「医学部は10年前くらいからレベルが上がってきて、ここ5年くらい飛躍的に上昇しています」など、医学部の難しさを強調する声が出ている。
たしかに河合塾の「入試難易予想ランキング」を見ると、医学部系の偏差値は東大、京大、阪大が72.5、東京医科歯科、東北大、千葉大が70。地方国公立大医学部は熊本大など半数近くが67.5で、その他も65.0。これに対し東大の理Ⅰ、理Ⅱは67.5。京大の理学部は65.0、京大や東京工大の工学系は、学科で異なるが、65.0~62.5あたりだ。
大学入試は、問題の傾向や配点、受験生の志向などもからむので、単純比較はできないが、医学部のレベルアップぶりが分かる。
週刊誌の特集でも、「東大より医学部をめざす受験生たち」(週刊朝日2014年4月25日号)などの記事が目立つようになっている。サンデー毎日の「国公立大学医学部医学科合格者数ランキング2015」によると、トップは東海(愛知)で96名。以下、ラ・サール(鹿児島)80名、開成(東京)73名、洛南(京都)70名、甲陽学院(兵庫)67名、灘(兵庫)64名と続く。TOP10はいずれも名門私立だが、上位順位は東大合格者ランキングと必ずしも完全には一致しない。
この半世紀、一部有名女子大のレベルダウンを除けば日本の大学の難易度ランキングや評価は大きく変わってないと言われるが、理系で医学部が突出したことだけは間違いない。「東大合格者数だけで評価されたくない」「医学部に強い」ことを強調する高校も増えている。とりわけ東海やラ・サールなど地方の名門校は明らかに「医学部シフト」しているといえそうだ。もはや高校の進学実績は「東大・京大」+「国公立医学部」のトータルで評価する流れとなっている。
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