2016年は年頭から週刊誌が元気だ。「週刊文春」は毎週のように特ダネを連発して「完売」も目立つ。一方、ライバルの「週刊新潮」も今年は創刊60周年ということで特に力が入る。このところ、それぞれの編集長がメディアのロングインタビューに登場、編集態勢や特ダネの内幕などを語っている。
ベッキー騒動、甘利明・前経済再生相の不正献金疑惑、宮崎謙介元衆議院議員の不倫、巨人選手の賭博、ショーンKの経歴詐称・・・。スクープの連発で、「週刊文春」の新谷学編集長はすっかり時の人になった。アエラ、ヤフー、ダイヤモンド・オンラインなどあちこちのインタビューに登場している。
編集部は60人弱。いわゆるスクープ記事を担当する特集班は40人ほど。およそ8人ずつの5班に分かれ、毎週木曜のプラン会議で「デスク」にネタを出す。ノルマは1人5本。ここにおよそ200本のネタが集まり、次号掲載の十数本に絞り込んでいく。「タブーは恐れない」「情報をお金で買うこともない」と断言する。最近は、訴訟での立証のハードルが高くなっているので、「裁判に負けない記事を書くことを徹底している」とも。(ダイヤモンド・オンラインによる)
年頭に「SMAP解散」、最新号で「乙武クン不倫」の大ホームランをかっとばした「週刊新潮」。創刊60周年ということもあり酒井逸史編集長が「新刊JP」のロングインタビューに応じている。スタッフは事務方も含めて70~80人。フリーも出入りしているが、他紙に比べ「正社員」が多い。編集部は4つの班に分かれ、本来は休日の木曜日に交代で出社、ネタや企画を出す。それを翌朝、編集長が取捨選択する。訴訟を起こされても、「何のプレッシャーも感じませんね」と言い切る。
編集部の陣容や、企画会議の厳しさなど、両誌は似た点が多い。だが、明確な違いもある。だれが原稿を書くか、だ。「文春」はネタの提出者が書き手になる。記者の経験や文章の巧拙にかかわらず、いいネタを取ってくれば大きな記事が書けるチャンスがもらえる(ダイヤモンド・オンラインによる)。一方の「新潮」の場合、特集記事は、経験豊富で技量も高いデスクが書く。どのデスクが書くかで文章の味は多少変わるという。
出版界は「冬の時代」といわれて久しい。特に近年、雑誌は落ち込みが激しいが、このところ両誌を追う形で他誌でもポツポツ話題の記事をみかけるようになった。一連のスクープ報道が刺激になり、今年は雑誌の売り上げが持ち直すのだろうか。
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